23/02/2026
週刊エコノミスト連載「歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話」
最終回なので、全文掲載致します。
第53回(最終回) 良い歯科医の選び方
-良い歯科医は、噛む機能を長期で守る-
信頼できるかかりつけの歯科医や歯科医院がない場合、良い歯科医選びは難しいものです。最低限求められるのは、清潔感、スタッフの対応、説明のわかりやすさ、感染管理の徹底などです。多くの歯科医院はホームページ上で、診療方針や専門分野などをアピールしていますので、より具体的な情報として参考になります。
しかし、本当のところは実際に受診してみないと分からないのが実情です。確かなのは所在地だけで、これは通いやすさの目安になります。
また、ネット上に溢れる口コミも当てになりません。Aさんにとって良かったことが、Bさんにも当てはまるとは限らないからです。恣意的な悪評も問題になっています。元も子もない言いようで恐縮ですが、受診してみない限り、良い歯科医(歯科医院)かどうか外からは判断できないのです。
また、実際に受診しても、歯科医と患者で良い歯科医の捉え方に差異を生じる場合があります。例えば、歯科医が丁寧な治療(特に根管治療など)を心がけると、通院回数が多くなりがちですが、早く治したい患者は不満に感じます。
どんな歯科治療も「咀嚼機能の維持・安定」のため
小さな虫歯治療や根管治療、歯周病治療、総入れ歯まで、全ての歯科治療の目的は「咀嚼機能の維持・安定」です。虫歯や歯周病の痛み、抜けたままの歯があるとバランスよく噛めません。それらの問題を解決し、左右の歯でバランスよく噛める状態に回復するのが歯科医の役目です。
その状態を維持・安定させるためには、患者自身のセルフケアと歯科医や歯科衛生士による定期的なプロケアも必要です。つまり、良い歯科医とは、「正確な治療で咀嚼機能を回復させ、その後は予防で維持・安定させてくれる専門家」です。
歯の見た目を整えるための審美歯科(美容歯科)や歯列矯正でも最終目的は、「咀嚼機能の維持・安定」に変わりありません。しかし、見た目優先の治療で、咀嚼という歯の本来の機能を損なうケースがあるのも事実です。
インプラント(人工歯根)も、インプラントを入れること自体が治療目的となってしまうケースがあります。審美歯科や歯列矯正、インプラントは治療費も高額です。見た目はキレイになったが、噛めなくなったのでは本末転倒です。事前に咀嚼機能に支障が出た場合の回復と保証、長期的な予後対策など文書による確認と共有は必須です。
こうしたことにしっかり対応できる歯科医であるかを見極める力をつけましょう。それが、自分の歯と心身の健康を守る良い歯科医選びの極意なのです。
残念ながら、治療や医療費に関するトラブルが生じてしまうこともあります。それぞれの対処法も表にしました。
皆様の歯と心身の健康をお祈り申し上げます。
全53回はこちらでお読みになれます。¥550(税込み)https://x.gd/6oU9L
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